馬の病気を学ぼう!〜屈腱炎(くっけんえん)〜

屈腱炎

先日は「跛行」ついての記事を書いたので、今後は脚元に起こる疾患を中心に記事にしていきたいと思っております。

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今回は、「屈腱炎」についてです。

目次

屈腱炎とは?

競馬が好きな方なら一度は耳にしたことのある疾患だと思います。

昔の馬でいうとキングカメハメハ、2度の手術を行い、2年4ヶ月もの長期休養から奇跡の復活を遂げたカネヒキリ

最近の馬ですと第80回日本ダービー覇者のキズナ、第86回日本ダービー覇者のロジャーバローズがこの屈腱炎が原因で引退しており、「不治の病」とも言われています。

「そもそも屈腱ってどこ?」「なんでなるの?」という方もいらっしゃると思いますのでそのあたりを説明させていただきます。

屈腱炎とは稀に後肢にも発症することがありますが、多くは前肢に患うので、まずは前肢について軽く説明いたします。

今回は前肢を4ブロックに分け、地面に接している下から「」、蹄と球節をつなぐ「繋ぎ」、球節と前膝の間の部分「前管」、前膝から付け根までを「前腕」となっており、「前管」の部分にある腱(深屈腱と浅屈腱があるが、ほとんどが浅屈腱で発症)の一部が切れたり、変形することで出血や炎症を起こしてしまう…これが屈腱炎です。

余談ですが、先ほど“一部が切れたり”と記載しましたが、これが“断裂”になると「屈腱不全断裂」という病名になり、これは競争能力喪失は確実、最悪の場合は予後不良になってしまいます。

次になぜ屈腱炎になるのかという事を説明したいのですが…実は明確な原因はわかっておりません…

が、走った際に起こる腱の激しい伸縮運動による摩擦熱や体温の上昇が原因で変形や損傷を起こすと言われています。

屈腱炎の予防法

予防法としては、運動後は速やかに体や脚元の冷却をすることが効果的です。

治療法としては患部の水冷や抗炎症剤の投与、インディバ(高周波を使う機械)やショックウェーブ(衝撃波を発する機械)を用いる方法、カネヒキリが受けた幹細胞移植手術、最近では大谷翔平選手や田中将大選手が肘のケガをしたときに、行ったPRP療法も効果的という結果も出てきています。

依然として原因も明確ではなく、治療法もまだ“これだ”というものがない屈腱炎ですが、実は年々屈腱炎を発症する馬は減少傾向にあります。

よく「高速馬場が原因で…」という意見もありますが、因果関係がないという研究結果も出ています。

こういった馬場を良い状態に保ってくれている人々、そして何より馬に接する人々(厩舎関係者や牧場関係者)の日頃からのケアが、年々減少している要因だとされています。

屈腱炎

さいごに

予想外に長くなってしまいましたが、以上が屈腱炎についてザックリした紹介となります。

なるべく噛み砕いて書いたつもりではありますが、「わからんぞ!」という点などがあればコメントのほうによろしくお願いいたします!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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